⑤現代語訳41~50
四十一番 壬生忠見
恋すてふ
わが名はまだき
立ちにけり
人知れずこそ
思ひ初めしか
~ 歌の意味 ~
恋をしているという私のうわさが、早くも広まってしまいました。人に知られないように思い始めたのだけれど。
四十二番 清原元輔
契りきな
かたみに袖を
しぼりつつ
末の松山
波越さじとは
~ 歌の意味 ~
約束しましたよね。涙でぬれた袖を互いに絞りながら、末の松山を波が越すことがないように、消して心が変わらないということを。
四十三番 権中納言敦忠
あひ見ての
のちの心に
くらぶれば
昔は物を
思はざりけり
~ 歌の意味 ~
あなたに逢って、エッチをした後の私の心は、もう、それ以前にあなたに逢いたいと思っていた時の心などなかったもののようですよ。
四十四番 中納言朝忠
あふことの
たえてしなくは
なかなかに
人をも身をも
恨みざらまし
~ 歌の意味 ~
逢うことが全くなかったのなら、貴方のつれなさも、わが身の不幸も恨むことはないのに。
四十五番 謙徳公
あはれとも
いふべき人は
思ほえで
身のいたづらに
なりぬべきかな
~ 歌の意味 ~
私のことを哀れと思ってくる人など、いそうもありません。私はむなしく死んでいくのでしょうね。
四十六番 曾禰好忠
由良のとを
渡る舟人
かぢを絶え
ゆくへも知らぬ
恋の道かな
~ 歌の意味 ~
由良の海峡を漕ぎ渡る船人が櫂をなくしてしまったように、どこへ漂っていくのかわからない私の恋であることよ。
四十七番 恵慶法師
八重むぐら
しげれる宿の
さびしきに
人こそ見えね
秋は来にけり
~ 歌の意味 ~
いろいろな雑草が生い茂るほどの寂しい宿に、訪れる人など誰もいないけど、秋だけはここにもやってくるのだなあ。
四十八番 源重之
風をいたみ
岩うつ波の
おのれのみ
くだけて物を
思ふころかな
~ 歌の意味 ~
風が強く、岩に打ち付ける波が砕けるように、恋に悩む私の心も砕ける程に思い悩んでいるこのころです。
四十九番 大中臣能宣朝臣
みかきもり
衛士のたく火の
夜は燃え
昼は消えつつ
物をこそ思へ
~ 歌の意味 ~
宮中の御門を守る兵士の焚く火が夜は燃え、昼は消えているように、私の心も夜は燃え、昼は消えるように物思いに悩んでいるのです。
五十番 藤原義孝
君がため
惜しからざりし
命さへ
長くもがなと
思ひけるかな
~ 歌の意味 ~
君のためなら、捨てても惜しくはないと思っていた命なのに、いまは、長く有ってほしいと思うようになりました。
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