③現代語訳21~30
二十一番 素性法師
今こむと
言ひしばかりに
長月の
有明の月を
待ちいでつるかな
~ 歌の意味 ~
「すぐに行く」と言ったじゃありませんか。夜が明けるまで待っていたのに。
二十二番 文屋康秀
吹くからに
秋の草木の
しをるれば
むべ山風を
嵐といふらむ
~ 歌の意味 ~
その風が吹くと、秋の草木がしおれてしまう。なるほど、それで山風のことをあらしというのか。
二十三番 大江千里
月みれば
千々に物こそ
悲しけれ
我が身ひとつの
秋にはあらねど
~ 歌の意味 ~
月を見ていると、あんなことも、こんなことも思い出しちゃって悲しくなってくるじゃね~か。私一人だけに訪れた秋ではないのだけれど。
二十四番 菅家
このたびは
ぬさもとりあへず
手向山
紅葉のにしき
神のまにまに
~ 歌の意味 ~
今回の旅は、神様にささげる幣も用意できずに出発してきてしまったよ。 代わりに、神様の意のままに、このきれいな紅葉を捧げますのでお受け取りください。
二十五番 三条右大臣
名にしおはば
逢坂山の
さねかづら
人に知られで
くるよしもがな
~ 歌の意味 ~
恋しい人に逢えるという「逢坂山」、一緒にひと夜を過ごせるという「さねかずら」、その名前にそむかないならば、さねかずらをたぐり寄せるように、誰にも知られずあなたを連れ出す方法があればいいのに。
二十六番 貞信公
小倉山
峰のもみぢ葉
心あらば
今ひとたびの
みゆき待たなむ
~ 歌の意味 ~
小倉山の峰の紅葉よ。お前に心があるなら、 もう一度天皇が行幸されるまで、散らずに待っていてくれないか。
二十七番 中納言兼輔
みかの原
わきて流るる
いづみ川
いつみきとてか
恋しかるらむ
~ 歌の意味 ~
みかの原から湧き出て分かれながら流れる泉川ではないが、逢ったこともない人なのに、なんでこんなに恋しいのだろう。 (一度も逢ったことがないのに)
二十八番 源宗于朝臣
山里は
冬ぞさびしさ
まさりける
人めも草も
かれぬと思へば
~ 歌の意味 ~
都と違って山里の冬は人も訪ねてこないし、草も枯れてしまい、いっそうさみしく感じるものだ。
二十九番 凡河内躬恒
心あてに
折らばや折らむ
初霜の
おきまどはせる
白菊の花
~ 歌の意味 ~
初霜が降りて白菊の花がどこに咲いているのかよくわからない。それならば、あてずっぽうに折っててみよう。
三十番 壬生忠岑
ありあけの
つれなく見えし
別れより
暁ばかり
憂きものはなし
~ 歌の意味 ~
あの日のあなたは、とてもつれなかったな。夜明けの空に月が残っていたっけ。 その日から、夜明けの月を見るとつらく切なくなるのです。
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